米津玄師さんが、伝統芸能「落語」をMVで表現しています。
落語と米津玄師さんが、関連しているとは知りませんですよね。
この不思議を落語歴40年の私が解説します。それも解りやすくです。
米津幻師さんは落語「死神」噺を歌にして表現しています。
その不思議な世界観と落語ならではの魅力を歌にしたのです
古典落語「死神」を米津玄師は、どのようにJ-POPに仕上げたのか。
落語「死神」は古典落語で、20分以上の長編です。
冒頭で主人公の与太は死神に出会い、指示された病人の枕元に行くと死神の位置がわかります。足元にいる死神に向かって「アジャラカモクレンテレッツのバー」と呪文を歌い、手を叩くと病人は元気になります。
与太は評判の名医となり、噂が広まって大繁盛し、悪銭を稼ぎまくります。
この話を米津玄師が歌にし、主人公は人生のつまらなさを嘆きながら死にたいと歌い、そこであの呪文を唱えます。
「じゃらくれた」という言葉も登場し、これは米津玄師の出身地・徳島の阿波弁で「ふざけた」という意味。
死神から教わった方法で荒稼ぎし、再び呪文を歌った後、「Yeah Yeah プリーズプリーズヘルプミー」と続き、この部分は初期のビートルズを思わせます。
古典落語「死神」を米津玄師は、一番の見どころ、聞きどことはここだ!
米津玄師の「死神」の聴きどころは、死神に連れられて行った先に無数の灯るロウソクが立ち並ぶ場面から始まる。
死神は短いロウソクがお前=与太だと告げ、生き延びるにはその火を新しいロウソクに移さねばならないと言う。
その場面を歌詞が情景や心情とともに描き出す。
「ああ火が消える、火が火が消える 夜明けまたず/ああ面白く、面白くなるところだったのに」というフレーズから、与太の焦りとそれを楽しむ死神の姿が浮かぶ。
落語では火を移せず演者が倒れて終わるが、怖い結末の裏に人生の山あり谷ありを思わせる深みがある。
この曲はドラマ「リコカツ」主題歌「pale Blue」のB面として収録され、落語の噺を歌で表現するというユニークさが光る。昭和にも同様に落語を題材にしたドラマが存在していた。
昭和落語ドラマ 「タイガードラゴン」を知ってますか。
宮藤勘九郎さん脚本の作品は、浅草の落語家・林屋亭どん兵衛の高座に感動した虎児が弟子入りを志願するところから始まる。
どん兵衛には、虎児が属する新宿流星会の組長に400万円の借金があり、虎児は落語を一席覚えるごとに10万円の「授業料」を払うという展開に。
やがて虎児は「林屋亭小虎」としてヤクザと落語家の二足のわらじを履くことになる。毎回落語の噺のような物語が繰り広げられ、どん兵衛役は西田敏行さん、組長役は笑福亭鶴瓶さんが演じる。
もし配役が逆また違う面白さがあったかもしれない。高座でのどん兵衛は本物の落語家のようで、虎児役のTOKIO長瀬さんは破天荒な雰囲気と落語の魅力を巧みに表現していた。
高座シーンは「浅草演芸場」で収録され、寄席の人々も協力。
米津玄師の「死神」は「新宿末廣亭」で収録され、テーマ曲にはクレイジーケンバンドの「タイガードラゴン」が使われている。
まずこの曲が生まれ、そこからドラマが生まれたと言われている。落語と音楽は意外なほど多くの場面で交わり、「新宿末廣亭」や「浅草演芸場」は江戸の情緒を今に伝える魅力的な場所だ。

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